「現代社会と人権」渡辺拓也

四天王寺大学で開講されている「現代社会と人権」のオンライン授業用の教材です。無断転載や受講者以外への不要な拡散は控えて下さい。

緊急事態宣言が解除されて

第二波への警戒

 5月末に新型コロナウイルスの感染拡大に対する緊急事態宣言が解除されて、状況は一変したかのようでもあります。大阪でも、新規の感染者が出ていないとなれば、気をつけようという気持ちの行き場がないし、これまで自粛協力を呼びかけていた大阪府知事は、今度は経済活動を活性化させようとしています
 そんななか、北九州市で新たな感染者が多発し、感染拡大の第二波は起こりうるのだということを思い出させてくれました。

学校の方針

 みなさんのレポートのなかにも、第二波に気をつけて、まだ注意を継続しようという考えが多く示されていました。

 6月に入って、午前と午後での変則的な入れ替え体制ではあるものの、小学校や中学校も再開されました。来週には平常通りの授業形態になるようです。一方で、大阪のほとんどの大学は遠隔授業を継続するようです。四天王寺大学でも、対面授業は必要最小限に抑える方針になっています。

 私個人のことに触れると、今週の月曜日から和歌山市の専門学校に週に一コマの授業が再開されました。和歌山市は大阪より早く感染拡大が落ち着いていましたが、大阪で緊急事態宣言が出ている状況では、通勤するわけにはいきませんでした。他の先生はほとんど和歌山県内に住んでいるはずで、私の担当授業だけ取り残されてしまうのではないかと心配しましたが、緊急事態宣言が全国に拡大されたため、授業再開が6月まで延期されていました。専門学校のパソコン室を使ってもらって遠隔授業をしようかとも考えましたが、学生は学校のパソコンでインターネットは使えないとのことで、これは断念しました。

対面授業をしてみて

 緊急事態宣言が解除されたとは言っても、元どおりになったわけではありません。特に公共交通機関は怖いので、ふだんより早い6時台の電車に乗りました。乗った時点ではそれほど人は乗っていませんでしたが、途中で快速に乗り換えてからは、満員とはいかないまでも、どの車両も座れない人が目立つほどには混むようになり、接触を避けるというわけにはいきませんでした。

 学校についてみると、驚いたことにフェイスシールドを渡されました。フェイスシールドを使う場合はマスクは外しても構わないし、フェイスシールド自体、使わなくても構わないけれど、ということでしたが、学生のみなさんはフェイスシールドを付けることを義務付けられているということだったので、私もフェイスシールドを付けることにしました。

 また、ふだん授業している教室ではなく、ふだん式典や体育の授業をしている多目的ホールで、距離を置いて授業をしているということでした。いつもの教室に慣れきっており、また、対面授業をするのは春休みを挟んでほとんど半年ぶりだったので、緊張している自分に直前で気づきました。

自粛生活の影響

 みなさんのレポートを読んでみると、自粛生活のありようは似たり寄ったりであるようで、それぞれ異なったつらい思いをしている様子がうかがえました。

 アルバイトがなくなってしまった人もあれば、アルバイトはふだん通りという人もあります。遠隔授業のおかげでパソコンやネットワークのことにくわしくなった、タイピングが速くなったという報告も目立ちました。

 自宅の中で同じことの繰り返しで、取り立ててレポートに書けることがないからと、1日の過ごし方の時間割を書いてくれた人もいました。朝、昼、晩と大学の課題の有無を確認し、課題に取り組むという規則正しい生活送っている様子がわかりました。

 寂しさに耐えきれず、しかし、大阪府外にある実家に公共機関を使って帰るわけにもいかず、実家のお母さんに電話したところ、お父さんが自家用車を運転して迎えに来てくれたというエピソードもありました。やはり、まだ当たり前の大学生活を経験できていない一回生のみなさんの気持ちは私たち教員にも想像しきれていない部分があると感じさせられました。

最後のレポートにむけて

 この授業の最後のレポートでは、この自粛生活について書いてもらったこれまでの二つのレポートをふまえた上で、この半年をふりかえってもらうつもりです。みなさんが毎週毎週の課題で大変苦労されている様子もよくわかりました。

 最後のレポートまでは、この授業の課題は、動画(ブログ)をみた上で、自分の意見を提出してもらうものが基本になります。最後のレポートに何を書こうか、心づもりをしておいて下さい。