「現代社会と人権」渡辺拓也

四天王寺大学で開講されている「現代社会と人権」のオンライン授業用の教材です。無断転載や受講者以外への不要な拡散は控えて下さい。

釜ヶ崎の現在

遠隔授業で大変だったこと 様々なLMS 前回は遠隔授業で大変だったことについて書いてもらいました。みなさんの体験を読んでいて、PowerPointのスライドしかない授業もあったと知って驚きました。オンライン授業にしても、zoomであったり、Microsoft Teamsで…

釜ヶ崎の成り立ち

場所について考える お気に入りの場所、特に用事がなくても立ち寄ってしまう場所 前回の授業課題では、自分がこれまで生きてきた中で、お気に入りの場所、あるいは「特に用事がなくても立ち寄ってしまってしまう」ような場所について、ふりかえって考えても…

怠けの役割

怠け者を発見した経験 自分で自分を怠け者だと思う 前回は、あなたが誰かを怠け者だと思った経験、あるいはあなた自身が怠け者扱いされた経験、または誰かが誰かを怠け者扱いしているのを見かけた経験などについてふりかえって書いてもらいました。 読んでい…

怠け者を作り出すメカニズム

おわび まず最初にお詫びしなければならないことがあります。前回の課題番号は10であるにもかかわらず、見出しと本文で番号が異なっていました。混乱させてしまい、申しわけありませんでした。課題の受理と出欠の登録は問題なく処理しているはずですが、出し…

飯場の労働文化

経験豊富な者からそうでない者への手助け 前回の課題では、経験豊富な者からそうでない者への手助けについて、みなさんがこれまで経験したことについて書いていただきました。特に多かったのはやはりアルバイトや部活動での経験でしたが、道に迷っている時に…

土屋トカチ監督「フツーの仕事がしたい」2008年公開

今日は、土屋トカチ監督の「フツーの仕事がしたい」というドキュメンタリーを紹介します。この作品では、皆倉さんという、セメントを運送するトラックの運転手をしている労働者が起こした労働争議を中心として展開します。 セメントを運ぶ仕事 冒頭では、労…

寄せ場の労働者の助け合い

仕事探し 前回の課題では、実際に自分が働いてもいい、働いてみたいと思えるような仕事を、インターネットの求人サイトを使って探してもらいました。「大学を辞めてでも働かなければならなくなったとして」という仮定をしたつもりだったのですが、もう一つ意…

コミュニケーション能力とは何だろう

コミュニケーション能力が高い人とは? よく「コミュニケーション能力が評価される」と言われます。物怖じせずに知らない人に話しかけたり、何を言われても即座に対応したりといったふうに、「コミュニケーション能力の高い人」はいるように思えます。「コミ…

働くことについて考える

働くことについて思っていること 前回の課題では「働くことについて思っていること」を書いてもらいました。これもたくさん書いてくれた人が多く、みなさん気になることやふだんから考えていることが多いのだなと感じました。 まだ働いた経験もないのに、将…

緊急事態宣言が解除されて

第二波への警戒 5月末に新型コロナウイルスの感染拡大に対する緊急事態宣言が解除されて、状況は一変したかのようでもあります。大阪でも、新規の感染者が出ていないとなれば、気をつけようという気持ちの行き場がないし、これまで自粛協力を呼びかけていた…

ホームレスをしている理由

なぜホームレスをしているのか フィールドワークで出会うこと 前回の課題では、みなさんそれぞれがやってみたいフィールドワークについて書いてもらいました。この授業で関心を持ってホームレスの人たちや釜ヶ崎について知りたいという人もいれば、アメリカ…

飯田基晴監督「あしがらさん」2002年製作、73分

今日は「あしがらさん」というドキュメンタリー映画を紹介します。 授業では「不自由だと思っていたホームレス生活を自由に生きている」バイタリティあふれるおやじさんを紹介しました。また、テント村で生きる人たちのたくましさにも少し触れられたかなと思…

自由とは何だろうか

二つの問い 「ホームレスは自由なのか」の答え 前回は「ホームレスは自由なのか」そして「自由とは何か」の二点について、みなさんの考えを書いてもらいました。いつにも増してたくさん書いてくれた人が多く、自由というテーマにみなさんの関心が高い様子が…

エーリッヒ・フロム(日高六郎訳)『自由からの逃走 新版』東京創元社、1952年

今回は、エーリッヒ・フロムという人の書いた『自由からの逃走』という本を紹介したいと思います。この本は、私が大学3回生のころ、漠然と「自由とは何か」を考えてみたいと思っていたときに先生に相談し、紹介してもらった本です。 ナチスの独裁政治 この本…

ホームレス生活は自由なのか

なぜ叱られたのか 前回は、西成公園のテント村でのおやじさんとのやりとりを紹介しました。親方気質で「困った人を見ているとほっておけない」と言い、コミュニケーション能力も高く、バイタリティあふれるおやじさんでしたが、二度目の訪問では態度が豹変し…

新型コロナウイルス感染症はどうなるのか

課題1では、みなさんが新型コロナ感染症を意識しはじめてから最近までの受け止め方、出来事を書いてもらいました。 共通点と相違点 読んでいて面白かったこととして、大体どの人も認識が変わる時期やきっかけとなる出来事が共通している点です。 一回生のみ…

ホームレス生活に陥るさまざまな要因

ホームレス生活に陥るさまざまな要因 前回の授業では、普通に暮らしている人がホームレス生活に陥る一番大きな原因は「仕事がない」ことであると述べました。仕事がなければ家賃が払えなくなります。家賃が払えなくて、家から出る、あるいは追い出されてしま…

佐藤郁哉『フィールドワーク 増訂版——書を持って街へ出よう』新曜社

授業と合わせて本の紹介などもしていこうと思います。今回は、最初に申し上げた「フィールドワーク」という言葉に関連して、フィールドワークの入門書を紹介します。 フィールドワークという言葉は、実際にはいろんな使われ方をされます。ちょっと現地を訪れ…

ホームレス問題へのイントロダクション

はじめに この授業は「現代社会と人権」です。ibu.netの課題でも書いたように、四天王寺大学に入学した学生は、1年次に「現代社会と人権」を必修単位として受講することになっています。「現代社会と人権」は複数の担当者がいますが、この授業の担当の渡辺で…